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ニューヨーク州チャイルドセーフ製品法が世界の製造業に与える影響
ニューヨーク州チャイルドセーフ製品法(N.Y. ECL§37-0901ないし§37-0913、以下、「本法」という。)は、2020年3月1日に発効する。本法は、特定の化学物質を含む子供用製品の製造業者に通知と報告の要件を課し、2023年から、それらの化学物質を含んでいる子供用製品の販売を禁止するものだ。同法は、増加している、特定の消費者製品の製造業者に化学物質に関する情報の提供を義務付ける州法の1つである。以下、本法の主要な要件を要約する。本法は、子供向け製品に適用される。ここで、子供向け製品とは、12歳以下の個人によって「使用されることを主に意図し、製造され、販売された製品」と定義される(N.Y. ECL§37-0901(4), (5))。例えば、子供服、ベビー用品、おもちゃ、ベビーシート、学用品、子供用家具、日用品などを含む。本法の対象から除外されるのは、電池、消費者向け電子製品(パソコン、ワイヤレス電話、ゲーム機など)および米国食品医薬品局(FDA)によって規制されている食品、飲料、添加物、医薬品、生物学的または医療用機器である。
危険化学物質の通知:「危険」化学物質を含む子供用製品の製造業者は、ニューヨーク州で販売または流通するために当該製品を提供する企業に対し化学物質の存在を通知し、その毒性に関する情報を提供しなければならない。
- 製造業者:子供向け製品を製造する企業、または子供向け製品に当該企業のブランド名が付いている企業。輸入製品の場合で、製品を製造または組み立てている企業または製品にブランド名が付いている企業が米国内に存在しない場合は、製造業者とは輸入業者または最初の国内流通業者のことを言う。
- 危険化学物質:りん酸トリス(tris (1, 3 dichloro-2-propyl) phosphate)、ベンゼン、鉛および化合物(無機)、水銀および水銀化合物、ホルムアルデヒド、アスベスト、ヒ素およびヒ素化合物、カドミウム、および有機ハロゲン系難燃剤。今後、ニューヨーク州環境保護局(NYSDEC)は、ニューヨーク州保健局(NYSDOH)と協議して、子供用製品に含まれる化学物質が、次のいずれかの基準に該当する場合、危険化学物質と指定する可能性がある:
- バイオモニタリングにより、当該化学物質またはその代謝物がヒトに存在することが特定された場合
- サンプリングおよび分析により、当該化学物質が、ほこり、室内空気、上水などの家庭環境に存在することが特定された場合
- モニタリングにより、当該化学物質が、魚、野生生物、または自然環境に存在することが特定された場合
- 当該化学物質の販売または使用、もしくは当該化学物質を含む子供用製品の販売または使用が、健康への影響を理由として他の州で禁止された場合
- 要注意化学物質:75種類以上の物質が、要注意化学物質として本法で指定された。以下の物質を含む。フェノール、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールFおよびビスフェノールS(BPS)、塩化ビニル等。今後、NYSDECは、NYSDOHと協議して、信頼できる科学的証拠に基づいて、以下のいずれかに該当するとして、州、連邦、または国際政府機関によって指定されたと判断した場合、当該物質を要注意化学物質として指定する。(1)発がん性物質、生殖または発生毒性物質、神経毒性物質、喘息薬または内分泌かく乱物質、(2)持続性かつ生体内蓄積性かつ毒性を有するもの、または(3)非常に持続性かつ非常に生体内蓄積性を有するもの。
報告: 2020年8月28日までに、NYSDECは危険化学物質および要注意化学物質の一覧表をウェブサイトに掲載する。NYSDECは一覧表を定期的に確認し、一覧表を改定する場合がある。NYSDECの化学物質一覧表に危険化学物質が掲載されてから12か月以内に、ニューヨーク州で販売または流通するために、危険化学物質または要注意化学物質を含む子供用製品を提供する各製造業者は、当該化学物質の実用的定量下限(PQL)での使用についてNYSDECに報告書を提出しなければならない。当該報告書は、製品、当該製品に含まれる危険化学物質または要注意化学物質、および当該化学物質の意図する目的を特定しなければならない。NYSDECは、製品中の当該化学物質の量、製品から環境に当該化学物質が放出される可能性に関する情報、および当該製品の使用者が当該化学物質に暴露され得る程度について報告を要求する場合がある。
NYSDECは、危険化学物質の特定用途については報告要件のすべてまたは一部を免除する場合がある。製造業者からの免除要求の諾否の決定において、NYSDECは、以下の事項を検討することができる。(1)実質的に同等の情報が公開されているか、(2)情報が本法の目的に照らして必要でないか、(3)他の州が同様の免除を許諾しているか、(4)当該使用が微量であるか。
禁止:2023年1月1日付で、以下の危険化学物質を含む子供用製品のニューヨーク州内での流通、販売、および販売の申し出は禁止される:りん酸トリス(tris (1, 3 dichloro-2-propyl) phosphate)、ベンゼン、ホルムアルデヒド(繊維製品を除く)、アスベストおよび有機ハロゲン系難燃剤。同様に、ある化学物質が危険化学物質の一覧表に追加された場合、掲載から3年後に、同禁止が適用されます。ただし、電池または電子部品については、危険化学物質が含まれているという理由のみでは、同禁止は適用されない。同禁止は、連邦法が子供用製品に関する州規制に先占する場合、または化学物質が微量汚染物質である場合にも適用されない。さらに、NYSDECは、子供向け製品が入手不能となることにより「公衆衛生、安全、または福祉に不当なリスクをもたらす可能性がある」場合には、NYSDECの判断で、製品の禁止を免除することができる(N.Y. ECL§37-0907(1), (2))。
本法の適用除外:使用済みの子供用製品、製品の製造工程で使用されるが最終製品には存在しない化学物質、輸送に使用される各種製品(不整地を走行する車両など)、燃焼副産物としてのみ生成される危険化学物質または燃料に存在する危険化学物質。独立して所有および運営される従業員が5人以下の製造業者が生産する製品。小売業者(ただし、販売禁止後または危険化学物質の製造業者から通知受領後、危険化学物質を含む子供用製品を故意に販売した場合は除く)。
NYSDECは、本法の実施のため、規制を制定する権限が与えられる。本法の影響を受ける製造業者は、当該規制を普及させるNYSDECの活動に関心を持つだろう。
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1 Child Safe Products Act, N.Y. ECL §§ 37-0901 to 37-0913.
2 Child Safe Products Act, N.Y. ECL § 37-0901(4), (5).
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