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中国 改正医薬品管理法についての考察

1. 制度改革の成文化
本改正法は中国政府によって既に実施または検討されてきた、いくつもの制度改革および政策を成文化したものであり、販売承認取得者(MAH)制度、臨床試験に対する60営業日黙示承認、治験薬の被験者外への拡大使用および画期的医薬品、希少疾病用医薬品もしくは緊急医療ニーズのある医薬品の優先審査ならびに条件付承認等を含むものである。本改正法は、規制当局、特に国家薬品監督管理局(NMPA)が、これらの制度改革を推進するために必要な、更なる規制強化を展開する法的根拠となる。
2. 販売承認取得者(MAH)制度
本改正法によって、現在実施中の中国国内の特定の地域における試験的プログラムの終了後、販売承認取得者(MAH)制度は全国的に施行される見込みである。MAH制度は、ワクチン等一定のリスクの高い製品を除き、販売承認取得者を実際の製造者から切り離すことを容認するものである。将来的には、MAHとしての承認は、NMPAの許諾を条件に譲渡可能となる。
MAH制度は、企業が中国国内において行う研究、開発および製造活動にさらなる柔軟性を持たせ、MAHの譲渡の自由は、特に地域特有の製品の買収など、地域的事業開発活動に新しい場所を提供することになる。
さらに、本改正法はMAH制度のもとに、中国国内に医薬品を輸入する外国企業をより一層統制することを意図して、新しい仕組みを導入する。国外のMAHは本改正法の定める義務を履行するため、現地代行者と契約し連帯責任を負わせることを義務付けられる。この新しい仕組みは、国外のMAHにかかる何らかの問題が生じた場合に、規制当局が当該国外MAHに対する責任追及を可能とすることを意図したものであるが、現地代行者が当該製品の流通に関与しない場合、これらの連帯責任がどの範囲に及ぶのかはまだ不明である。
3. GCP、GSP及びGMP認可の廃止
本改正法は、Good Clinical Practice(GCP)、Good Supply Practice (GSP)およびGood Manufacturing Practice(GMP)の認証条件を廃止し、その結果、臨床施設、医薬品流通業者および医薬品製造業者は法定認証が条件ではなくなる。医薬品流通業者および医薬品製造業者は、継続的コンプライアンスを確認するための中央及び地方のNMPAによるGSPおよびGMP査察をより多く受けることになるかもしれない。一方、臨床施設が自身でGCP要件を満たすためのコンプライアンスをどのように確立するのか、またNMPAによるこれらの臨床施設に対する査察が同様の査察水準でなされるのか明らかではない。
4. 処方医薬品のオンライン販売
本改正法は現在制限されている処方医薬品のオンライン販売を解禁する。ワクチン、血液製剤及びその他特別な規制を必要とするリスクの高い医薬品を除き、処方医薬品はMAH、医薬品流通業者及び第三者のeコマースポータルによって販売できることとなる。
NMPAはオンライン販売の規制を速やかに実施し促進するであろうが、処方医薬品の末端の個人消費者への配達にまで品質管理を確実にするためには、現行GSP要件の見直しまたは明確化が必要となるのか今後検討される。
5. 偽造医薬品および粗悪医薬品の定義の見直し
10年以上にわたる調査と議論によって、本改正法は偽造医薬品及び粗悪医薬品の定義を見直し、「見なし偽造医薬品」及び「見なし粗悪医薬品」の概念を撤廃する。偽造医薬品は今後、以下のようなより狭義な形で定義される。(i) 国の医薬品規格を満たさない成分を含む医薬品 、(ii) 医薬品であると偽って流通する非医薬品もしくはある医薬品であると偽って流通する別の医薬品 (iii) 劣化した医薬品、または (iv) 未承認適応症をラベルとした医薬品。それとは対照的に、粗悪医薬品の定義は以下のとおり広げられる。(i)成分の含量が不適合な 医薬品 、(ii) 有効期限またはバッチ番号が不適合な医薬品 (iii) 無承認用法の医薬品、または (iv) そのほか適用すべき国の規格に準拠しない医薬品。
加えて、従来、偽造医薬品または粗悪医薬品の制度下で扱われてきた状況を改善するため、いくつかの新しい概念が導入された。これらは、例えば「未承認の医薬品」及び「未承認ラベルまたは不適合ラベルの医薬品」等である。適法な業務を行っている企業にとっては、現行の製品の承認からの逸脱が必ずしも直ちに製品自体を偽造医薬品とされないことから、刑事リスク、レピュテーションリスク等の企業のリスク・エクスポージャーを減少させるのに役立つ可能性がある。
一般に未承認医薬品を製造若しくは販売することは重い刑事罰を科せられる可能性があるが、本改正法では、外国で合法的に流通している一定の未承認医薬品 の輸入を限定された条件下で許諾されることがある。この許諾条件は更なる定義と明確化が必要である。
6. 処罰の強化
本改正法は各違反行為に対する行政罰の水準、特に課徴金を著しく引き上げている。例えば、偽造医薬品、劣化医薬品または未承認医薬品の製造及び販売行為および/または製品の製造過程の無許可変更の場合、製品価値の15から30倍の課徴金を科すこともある。とりわけ、製品価値を基準に計算された罰金は、本改正法ではRMB100,000の下限を設定している。
さらに、データインテグリティ違反、製品リコールの遅れ、有害事象報告の遅れ、GCP、GSPおよびGMP違反、購買および販売活動における贈収賄等は、課徴金引き上げの対象である。
本改正法は、企業によるいくつかの違法行為について個人に対する行政罰も明記した。個人に対する責任が問われる者には、企業の代表者および直接責任があると考えられる個人が含まれる。これらの行政罰としては、金銭的罰則のほかに、5年もしくは10年の資格停止または資格はく奪も含まれる。
1 Sidley will circulate a separate newsletter to discuss this issue in more detail.
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