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Sidley Updates

航空機リースの実務:リポゼッション

April 6, 2026

航空機ファイナンス取引において、すべての当事者が合意された条件に従って契約を履行する場合、航空機はリース期間中、運航者(オペレーター)によって使用される。しかしながら、場合によっては、オペレーターまたはローンの借主であるリース会社による義務違反により、貸手(オペレーターの不履行時)またはレンダー(借主の不履行時)が機体の強制回収(リポゼッション)を行う必要が生じることがある。

航空機のリポゼッションを視野に入れた段階で、最初に着手すべきは弁護士への連絡である。航空機ファイナンス、担保権の実行および国際倒産案件に精通した弁護士が所属する法律事務所を速やかに確保することが重要である。

弁護士を選定する際に留意すべき点の一つは、利益相反(コンフリクト)の問題である。他の当事者(ボロワー、オペレーター、スポンサーまたは関係金融機関)から先に依頼を受けている場合や、他案件において依頼関係にある場合には、当該法律事務所が受任できないことも少なくない。そのため、検討に時間をかけすぎると有力な法律事務所がすでに他当事者に確保されてしまい、いざという時に依頼できる弁護士を確保できないリスクがある。

そのため実務上、あらかじめ専門性を有する法律事務所・弁護士を候補として選定し、優先順位を付したうえで、必要に応じて速やかに連絡できるように準備しておくことが重要である。

次に、機体が実際に所在する国および機体登録国の法制度について助言を行う現地弁護士を選定し、依頼する必要がある。リポゼッションの実行にあたっては、契約書の準拠法のみならず、機体の所在国および登録国の法律が実務上決定的な意味を持つ。

また、破産申立てが想定される場合には、手続地(申立て国)における倒産実務も含め、法制度および手続について現地弁護士に確認し、申立て後の差止め等により、実力行使、登録抹消または輸出が制限されるか等を早期に見極める必要がある。

例えば、自力回収(Self-Help)が許容される国もあれば、裁判所の命令等の関与がなければ一切の実力行使が認められない国もある。また、空港当局、管制当局、税関等との調整が不可欠となる場面も多く、現地実務に精通した弁護士の関与は不可欠である。

リードカウンセルと現地弁護士を早期に連携させることで、法的リスクと実務上の制約を同時に把握することが可能となる。

法的対応の検討と並行して、航空機回収を専門とするリポゼッション会社にも早期に連絡を取る必要がある。実務上は、機体や整備記録、各種証明書等の物理的確保、保管場所の手配、警備、空港やMROとの調整など、法律事務所のみでは対応が困難な業務が多数発生する。

経験豊富なリポゼッション会社を起用することで、現地における不要な摩擦や安全面の問題を回避しやすくなる。また、弁護士と連携することにより、「法的に可能な範囲」および法的なリスクを明確にしつつ手続を進めることが可能となる。

同時に、社内および関係先に散在する関連書類を網羅的に洗い出す必要がある。具体的には、ローン契約、担保設定契約、リース契約、保証契約、IDERA、登録抹消委任状(Deregistration Power of Attorney)、航空機登録関係書類等が含まれる。加えて、国際登記(International Registry)の登録状況(優先順位)、保険関連書類一式および整備記録(テクニカルレコード)等、回収および売却価値に直結する資料も早期に確保する必要がある。

また、過去の取引や譲渡の結果、書類が別部署や外部に保管されている場合も多いため、「後に必要となる可能性のある資料はすべて収集する」という意識が重要である。これらの書類を弁護士に共有し、担保権の有効性、優先順位および行使可能な権利について分析・整理を行うこととなる。

最後に、リードカウンセル、現地弁護士およびリポゼッション会社からの情報が出そろった段階で、初期対応の全体像を整理する必要がある。

具体的には、裁判手続を選択すべきか否か、IDERAの行使の可否、登録抹消や輸出の実行時期および順序、保険や整備記録の確保方法等を確認する。

このように事前に選択肢を把握し、進め方を決めておくことで、その後の回収、売却、再リースといった対応を円滑に進めることが可能となる。時間との勝負となる場面も多く、初動においていかに情報を集約し整理できるかが、案件全体の成否を左右するといえる。

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